■専有部分と共用部分の境界線
マンションは「共用部分」と「専有部分」から成り立っているのはご存じだと思います。確認ですが、バルコニーや専用庭は「共用部分」で、「専用使用権」が与えられているので、その住戸の人しか使用できなくなっているだけです。
実際に目に見える部分は理解しやすいと思いますが、では、壁の内側に隠れている水道やガスなどの「配管」はどちらでしょうか?
住民が全員で利用するのだから「共用部分に決まっているではないか」とお考えの方もいらっしゃるかとは思いますが、実は意外と複雑なのです。
配管は、上下に走る『竪管(たてかん)』と床下を横に走る『枝管』に分けられて、前者の竪管は「共用部分」に該当します。
では、後者の枝管はどちらでしょうか?
それには専有部分の範囲を確定しなければなりません。法によれば「専有部分とは区分所有権の目的たる建物の部分」であり、他方、共用部分とは「専有部分以外の建物部分、専有部分に属しない建物の附属物」とされています。しかし、専有部分と共用部分の境界をどこに定めるかは明記されていません。そこで、この境界の定め方として3種類の説が存在します。
専有部分の居室のうち、床・天井・壁の表面部が居室内の空間部分と接している境界部分はすべて共用部分であるという説で、専有部分は境界部分に囲まれた空間であるということになります。
境界部分はすべて専有部分で、床・天井・壁のコンクリート製の躯体部分の厚みの中央までが専有部分という考え方です。
上記2種類の中間に位置する考え方で、天井・床・壁のコンクリート製の躯体部分は共用部分だが、その上塗り部分は専有部分であるとする説です。
実務上は、この最後の上塗り説を採用しております。そうしますと、天井裏や床下の空間部分は専有部分となりますから、その空間に配置されている枝管も当然専有部分だということになり、ただ、天井・床のコンクリート製スラブ内に埋め込まれている配管のみが共用部分であるという帰結となります。
■枝管は専有部分か共用部分か?
話を戻して、では、枝管はどちらに該当するのかというと、最近のマンションは二重床にしてある場合が多く、コンクリートスラブと床の間に空間をつくり配管を通しています。この場合ではコンクリート表面の内側に配管が存在しますので、枝管は「専有部分」になります。
また、置き床(直床)の場合はコンクリートスラブに配管が埋められているケースがあり、これは、スラブ表面の外側に配管があることになるので、この場合では「共用部分」になります。築年数がたったマンションほどコンクリートの配管が埋められているケースが多く、この配管の交換すらままならないこともあります。
もう一歩、踏み込んで枝管が「専用部分」となった場合、どこからどこまでが自分の担当となるかというと、これも意見が分かれます。竪管とのつなぎ目までとか、料金測定用のメーターを境にするとかマンション毎に取決めがされています。
■責任の所在が分かれる
最後に、どうして細かい話をするかと言うと、トラブルが生じた場合に責任が誰になるのかが分かれてくるからです。配管に穴があいて水漏れし、下階の住人に迷惑をかけてしまった際に、その配管部分が「共用部分」であれば管理組合が責任を取りますが、「専有部分」であればご自身で責任を取らなければなりません。要するに、金銭の出費が伴うのです。
機会があれば管理規約に目を通して確認をしてみましょう。