普段、買い物をする時に気に入ったものがあれば、実際に手に取っていろいろ試してみてから買おうかどうしようか判断するものです。ところが住宅の場合は、完成していないのに契約だけさせられてしまい、事前に現物をこの手で確かめることができないのが現状です。
一生に何度とない“大きな”買い物なのに、こんなことでいいのでしょうか?
こういう販売方法を「青田売り」といいますが、不動産業界ではこれが慣習化しています。そして、その理由には施工業者とのつながりが関係しています。
一般的なマンションで数十億円、高層マンションになると何百億円とかかる建設費を、当初は施工会社が負担しています。そして、建物が完成した段階で、施工会社は事業主にマンション1棟を売りますので、この段階で事業主はマンション1棟分のお金を払わなけれはなりません。
ところが、事業主は多額の金額を現金ではなかなか払えず、金融機関から融資を受けるのがほとんどです。そして、すべての住戸が完売し、なおかつ、引き渡しを済ませて初めて資金を回収できるので、融資を受けてから返済までにタイムラグが生じてしまいます。それ程の長期ではないにしろ、億単位の借金なので、金利だけでも結構な負担になるわけです。
そこで、完成前から販売を始めれば契約時に「手付金」が回収できるので、その回収金を金利返済に充てれば、金利負担額を少しでも減らすことが可能になるのです。ひと言でいえば、事業主としては少しでも早く資金回収をしたいから、ということになります。
■販売開始時期が早すぎても・・・
基礎工事も終わっていないような状態から販売を始めると、資金回収は確かに早いのですが、半面、引き渡しまで期間も長くなるため、せっかく契約してもキャンセルされてしまい、その穴埋めに時間を取られ、結局は金利負担の効果が半減してしまった、などということが実際に起こっています。
その時は気に入っていた物件でも、その後、もっと安くて広い物件が出てくれば、たとえ手付金を放棄してでも、そちらに移るのは無理もないことです。