ようやく届いたアベノマスク。しかし、私は使っていません。

5月25日、ようやくわが家にも“アベノマスク”が届きました。アベノマスクとは、政府が新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、4月17日から全世帯に配布した安倍総理肝いりの布マスクです。届いたマスクには「みなさまへ」と題した説明文が同封されており、「使い捨てではなく、洗剤を使って洗うことで、何度も再利用可能ですので、ご活用ください」と書かれていました。繰り返し洗って使うことで、マスク不足の解消にも一役買おうという目算です。

ただ、手元に届いて感じたのが「今さら」という印象です。遅きに失した感は否めません。むしろ、今、不足しているのは薬用ハンドソープで、固形石けんも足りていません。アベノマスクの配布には466億円もの税金が投入されており、その使い道は本当に正しかったのか?―― 総じて批判的な意見が多いような印象です。一世帯に2枚という枚数の少なさも一因と考えられます。5歳のチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃね~よ!」と叱られないよう、常に国民ニーズを意識した、きめ細かい施策の実施を期待したいところです。

さて、偶然にも自宅にマスクが届いた5月25日には緊急事態宣言が全国解除されました。4月7日に7つの都府県で発令され、同17日には47都道府県(全国)へと対象地域を拡大。その後、5月6日までとしていた宣言期限を5月31日まで延長し、同25日、5月31日を待たずして全国解除の運びとなりました(下記参照)。

これを受けて自民党の二階幹事長は、記者会見で「国民全体の勝利だと思う。このことを忘れずに、しっかりと今後の日常においても、国民が一致団結して協力し合っていくことが大事だ」と述べました。最前線で働く医療従事者の懸命な努力とともに、自粛や休業を強いられた人々や事業者にも労をねぎらった発言です。

《参考》新型コロナウイルスをめぐる動き
<2020年2月>
  • 2月13日:国内初の死亡者。神奈川県の80歳代の女性が感染で死亡する。
  • 2月20日:クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客(80歳代の男女2人)が感染で死亡
  • 2月26日:今後2週間のスポーツ・文化イベントについて、中止・延期・規模縮小を要請
  • 2月27日:全国すべての小中学校・特別支援学校を臨時休校するよう要請する
  • 2月28日:感染が拡大する北海道が独自の「緊急事態宣言」を発令する
<2020年3月>
  • 3月11日:WHOが新型コロナウイルスは「パンデミック」と宣言する
  • 3月13日:改正特別措置法が可決・成立する
  • 3月27日:英ジョンソン首相が新型コロナの検査で陽性反応だったと公表する
  • 3月29日:タレントの志村けんさんが亡くなる。70歳だった
<2020年4月>
  • 4月7日:7都府県に緊急事態宣言が発令される(期間は5月6日まで)
  • 4月10日:東京都が休業要請を発表する(期間は5月6日まで)
  • 4月17日:緊急事態宣言の対象地域が全国へ拡大される
  • 4月23日:女優の岡江久美子さんが亡くなる。63歳だった
  • 4月24日:外交評論家の岡本行夫さんが感染により死亡する。74歳
  • 4月25日:GWを前に東京都が「ステイホーム週間」を呼びかける
<2020年5月>
  • 5月4日:政府が緊急事態宣言を5月31日まで延長すると公表する
  • 5月7日:厚生労働省が「レムデシビル」を新型コロナ治療薬として特例承認する
  • 5月13日:大相撲の力士・勝武士(しょうぶし)が感染により死亡。28歳だった
  • 5月14日:政府は緊急事態宣言を39県で解除することを決める
  • 5月16日:大阪府が「大阪モデル」の基準達成を受け、休業要請を解除する
  • 5月21日:政府は大阪・京都・兵庫の近畿3府県の緊急事態宣言を解除する
  • 5月22日:東京都が休業要請の解除について、4段階の「ロードマップ」を公表する
  • 5月25日:緊急事態宣言が全国すべてで解除される

マスクのいらない暮らしは、いつ到来するのか?

ただ、緊急事態宣言が全国で解除されたからといって、これまでの日常が戻るかといえば、そう簡単ではないでしょう。

北九州市では新型コロナウイルスの感染が再拡大しています。市内のメディカルセンターと総合病院ではクラスター(感染者集団)が発生しており、市長は「第2波のまっただ中にいる」との認識を示しています。全国的に新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いてきた最中にあって、北九州市だけが増加傾向にあるのです。

6月2日には東京都が初めて「東京アラート」を発動しました。見切り発車の代償が東京都心に襲い掛かった格好です。北九州市同様、足もとでは新規感染者が増加傾向にあり、都は感染再拡大の兆候があるとして、警戒感を強めています。

折しも、発動前日の6月1日にはロードマップを「ステージ1」から「ステージ2」に移行したばかりでした。休業要請を段階的に緩和し始めた矢先の警告発令となりました。改めて、二律背反する「感染予防」と「経済再生」の両立(バランス)をどう保てばいいのか?―― 1つの答えとして、新型コロナウイルス治療薬の早期開発が重要な意味を持ってくるでしょう。

☆ ☆ ☆

振り返ると、1カ月前まではトイレットペーパーが買いたくても買えませんでした。ドラッグストアの店頭に並んでいなかったからです。遠因としては、不足をあおるマスコミ報道が人々を買い占めに走らせ、その不足感がさらに消費者のトイレットペーパー欲を掻き立てる。こうした悪循環の連鎖がトイレットペーパー争奪戦をまくし立てました。

しかし、入手困難な状況は今日では解消に向かっています。もともとはデマ情報の拡散が主因だったからで、生産能力は需要を上回っています。

同様に、マスク不足も徐々に解消しています。あるスポーツ紙には「マスクバブル ついに崩壊…新大久保では乱売」との見出しが付いていました。「新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスクの品薄から高値、買い占め、高額転売などで膨れあがった“マスクバブル”がはじけている」と現況が記されていました。徐々にマスクには充足感が出始めており、もはや買い急ぐ必要はないです。

今、必要なのは「マスク」ではなく「マスクのいらない暮らし」です。かつての平穏な日々の回復が望まれます。感染リスクと背中合わせの過酷な現状から解放され、マスクのいらない“これまでの日常”が一日も早く戻ることが待望されます。